秋の気配

　立秋を迎えたからだろうか。　
　夏の盛りを過ぎ、秋の気配を感じるようになった。
　日中は会社から一歩も出ないから、冷房の効いた室内で何不自由なく過ごしている所為かも知れないが、帰りなどに「ああ秋だな、夏も終わりだな」と最近は良く感じる。

　何処となく蝉の声に一時期の勢いがないように感じる。そもそも蝉の声を聞くようになってまだ１ヶ月くらいしか経っていないのに、もうピークは過ぎたのだろうか。
　僕の居住地周辺ではアブラゼミとミンミンゼミの声しか聞かないが、ほんの数キロしか離れていない会社周辺では、ツクツクホーシ、クマゼミ、ヒグラシの声まで聞こえる。朝は駄目だけど、帰りにはほぼ毎日聞けるヒグラシの声は密かに楽しみにしている。
　何でうちの周辺にはいないのだろう。やっぱり緑が少ないからだろうか。そんな蝉の声に勢いがない。

　帰りの暑さもそれほどじゃなくなってきたというのもあるが、何より日が短くなってきたんだなあと思う。僕が会社を出る６時過ぎには、もう太陽そのものは殆ど見えない。明るいけど見えない。
　それに行き交う車や自転車でもライトを点けているものが増えてきた。特に車は大半が点けているように思う。トドメに家に着くころには、街灯やアパート・マンションの廊下の電気は既に点いている。

　夏という季節は暑いから嫌いだし、毎年何もせずに終るものなのだが、この夏の終わりの秋を待ちわびる時間は好きだ。ヒグラシの声を聞きながらちょっとアンニュイな気分に浸るのも悪くない。
　夏休みもないので今月はどうでもいいが、来月は色々出かけよう。来月って言っても月末になると思うけど、巾着田まで彼岸花を見に行きたいなあ。今は暑くて行く気がしないけど、各所の骨董市も覗きに行きたい。殆ど高くて買えやしないんだろうけど、お気に入りの一品に出会える可能性もある。
　僕が使っている洋服用箪笥は貰い物だが、見た目は十分骨董品。かなり軽いので、中身さえ出せば軽々１人で運べてしまう。見えないけど後ろの方がちょっと壊れていたりするけど、お気に入り。
　そして父の使っている棚も何処でどう手に入れたのか知らないが、思いっきり和風で骨董？っぽい。その脇に置いてある千両箱は正真正銘骨董市で買って来たらしい。何で千両箱やねん。
　
　早く秋にならないかなあ。

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