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2006年春に神主を辞め、某弱小会社に入社するも、たったの10ヶ月で鬱病になり2007年3月で退職。半年の休養を経て現在は営業事務としてある業界では有名な会社で正社員として働いています。元神主だったので、それに纏わる忌まわしいネタも公開しつつ、有難さ-127%でお送り致します。
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 半月前に降った雪。下手に雪かきをして、しかも日陰に固めてあるせいでまだ山盛りで薄汚れた雪が残っている場所が幾つもある。この状態ではあと1ヶ月は消えないだろう。
 昨日よりは暖かいが、空気は冷えており手袋がないとすぐに手が悴んでしまう。
 毎朝のように、道端の花壇には霜柱がある。人目がなければこっそり踏んで感触を楽しむこともあるが大体はその隙がなく、人目も気にせずそれらを踏みしめる幼児を羨ましく眺めるのみだ。
 会社では昼過ぎまでストーブをたき続け、灯油の入ったタンクは毎日のように給油を必要とする。加湿の為にストーブに載っている薬缶も、日に1度は給水を必要とする。
 近くの川にも朝はうっすらと氷が張る。その冷たい川の中で鴨はエサを求めて無心に嘴を突っ込み歩いて行く。
 自室は日当たりが良いので日中も暖かだが、夕方になる頃にはカーテンを閉めないと、硝子を突き抜けた冷気が部屋へと入り込んでしまい、一気に室内が冷え切ってしまう。

 間違いなく冬の只中であるというのに、最近は春の片鱗を見かけることがある。確かな足音ではなく、振り返り様に曲がり角の端から僅かに覗いた髪の一筋のような。確かに見たのに幻覚と区別がつかないような、刹那の邂逅。
 遠からず刹那ではなく、常に横にいる時が来るのに。
 
 空気の入れ替えの為に窓を開けた時の、微かな香りに。
 頬に当たる陽光の冴えに。
 18時の終業と共に外へ出た時、西の空に残る夜明けの始まりにも似た極微の陽の気配に。
 もっとあからさまに、道端の梅の甘く柔らかな香りに。
 明確に意識が出来ないけれど、何処かで何かに。

 春が、彼女がもうすぐやってくる。
 舞い散る薄紅の花弁で、澄み渡り温んだ川面の波紋で、若干冷たさを失う代わりに淡さを備えた空で、人の体を締め付ける冷気ではなく弛緩させる堕落の吐息で。
 最も怠惰で美しく優しい季節がやってくる。
 気配を感じる時間は長いのに、目の前にいるのは瞬く間。
 今から待って、準備をしておかないと、彼女を堪能することが出来ない。彼女に逢えるのは人生であと数十回しかないだろう。
 そのうち本当に堪能出来る状態であるのは、何回だろうか。
 
 これが最後と覚悟して。今年も彼女を迎えよう。

  人気ブログランキングへ日帰りでもいいから、今年は京都まで桜見に行こうかなあ、なんて考えています。
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プロフィール
HN:
榊原恭一郎
性別:
男性
職業:
営業事務
趣味:
読書、DVD鑑賞、SD、ネット等インドア趣味
自己紹介:
大卒後神主×年→無職2ヶ月→会社員10ヶ月→鬱病になって療養しつつ無職6ヶ月→念願の事務職に就職。
2回連続問題ありで離職率の高い職場を選んで体を壊しているので、次こそはマトモな所を狙って就職活動したつもりです。超アナログではあるけど居心地は悪くないと思う。
 夢は経理事務だったけど営業事務職、年収300万以上を夢見た結果、その夢は叶う職場(のはず)です。求人票に嘘がなければね。

 そんな駄目人間風味のコーヒー飲まないスターバックスファンのブログ。スタバグッズ蒐集が趣味。他にも色々集めてます。
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