2006年春に神主を辞め、某弱小会社に入社するも、たったの10ヶ月で鬱病になり2007年3月で退職。半年の休養を経て現在は営業事務としてある業界では有名な会社で正社員として働いています。元神主だったので、それに纏わる忌まわしいネタも公開しつつ、有難さ-127%でお送り致します。
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今週に入ってから短い通勤時間とゆったりとれる昼休みを使い、本を読んでいた。持ち運びが楽なように文庫本を選んだ。
本の題名は「暗黒童話」という。僕の気に入りの1冊。
片方の眼球と記憶を失った少女の話だ。
記憶を失うとまるで別人のようになってしまうのだという。そして記憶を再び取り戻した時、記憶を失っていた間のことは覚えているが、夢でも見ていたように自分の事とは思えないらしい。
考え方も何もかも違う、他人のようだと。
夢を見ていたわけでもないが、ほんの半年前の記憶を呼び起こすと、まるで自分の歩いてきた道とは思えない。
今から半年程前。
僕はあの会社で働き、心を病んだ。鬱病と診断された。その程度がどのくらいのレベルだったのかは知らないが、病院に行って最初のうちは相当に悪い状態だったと思う。
殆ど何も食べることがなくなり、体重は日々減少していた。
ストレスで声も出ないことがあった。
仕事に行く日は朝から酷い吐き気がした。
吐き気が怖くて朝は何も食べなかった。
仕事中に手が震えた。
最終的に無意識に自分の手を噛んでいた。両手に椿の華の様な無数の痣が散った。
事前に退職の意向は伝えていたが、後任が決まるより先に僕の限界が来て欠勤したまま退職となった。
退職してからは順調に快復していったものの、再就職の為に行動出来るようになるまでには3ヶ月程の時間を必要とした。離職票に不備があったりして実際に活動を始めたのは8月になっていた。
毎日のんびり昼まで眠り、明け方まで起きていた。
これらの日々の記憶はあるのに、最早自分の事とは思えないくらい、今の自分とは違っているような気がする。
再就職してからは、7時過ぎには起きてベタにエサをやる。無心にエサを飲み込むベタを眺めながら、僕は服を着替える。
テレビでニュースを見ながらお茶を飲む。
8時過ぎには家を出て、会社に向かう。
駅から少し距離があるので、毎日気分次第に色々な道を通る。
彼岸花が其処彼処で咲き誇っていて、いちいちそれらを眺めたことがあった。某社の社宅の無機質なデザインに目を奪われ、暫し立ち尽くす事があった。遊歩道を見つけて、遠回りながらその上を歩いたりもした。
最近は何処を通っても金木犀の強い香りで頭が痛い。
会社に着けば、朝礼まで雑巾がけをしたり、ワイパーで床を掃除したり、ゴミ出しをする。
仕事には大分慣れてきたけど、まだまだ知らない事がたくさんあるから、じわじわとノートの書き込みは増えていく。一昨日から今までの物より細かく分類して、インデックスシールを貼ったサイズの小さなバインダーを用意した。
ルーズリーフだから幾らでもページを増やせる。
事務用品は自前の物が多い。今日からブックスタンドも用意した。99ショップで買ったものだが、これのおかげで今までよりも格段に机の上が片付き、作業効率が上がった。
なんで僕の机は狭いんだろうと思ったら、机の6分の1がたくさんの書類作成用ハンコが入った箱を置く場所になっていたからだった。どかしようがないから、また何かいいものを用意してもっと広く使えるように工夫するべきなのだろう。
会社から帰る道。暗い住宅街を歩くのが厭だから、明るいバス通り沿いを行く。しかしこの道も安全ではない。狭いのである。白線の中を歩くのはほぼ不可能な幅。植木が少し飛び出していたら、電信柱があったら、人とすれ違う。様々な理由で白線からはみ出して歩いている。
手を伸ばせば車に触れるだろう。
あまり活気のない商店街。
そこの焼き鳥屋さんは僕が通りかかる18時過ぎの時点で、既に常連さんで賑わっている。炭火で焼いた鶏の香りが堪らなく香ばしい。中に入る事は永遠にないのだろうけど、毎日ここを通るのが少し楽しみだ。
営業する気がなさそうな不思議な珈琲豆屋。ここでは素敵な紅茶缶を手に入れた。値札はないがまだ缶は売られているのだろうか。もう1つ欲しい気がする。今度はまた別のデザインの缶はないか、と期待して毎日この店をチェックするのが日課になった。
帰りの電車は毎日ガラガラで、必ず急行の通過待ちをする。多い時は2本待つ。
真っ暗で景色を楽しむことは出来ないが、ぼんやり外を眺めてまどろむがすぐに着くので眠る余裕はない。
駅から真っ直ぐ家に帰ることもある。マックでポテトを買うこともある。今日は本屋で「タビと道連れ②」「クラウン③」「イレブンソウル④」を買った。
薬屋でお菓子を買うこともある。ごく稀に寿司を買ったことがある。コンビニで保険料を払うことがある。川沿いを歩きながら音もなく飛び回る蝙蝠を見て躓いたことがある。
見事な満月を見て携帯で撮影したけど、小さくて良く分からなかった。
つまらない些細な事がたくさんある。
休日に買い物に行きたい。
熱帯魚を飼ってみよう。
読みたい本がある。
欲しいものがある。
大した額ではないけど、人によってはガラクタかも知れないけど、欲しいものがある。
今度の休みは早めに起きてスタバでココアを飲もうか。タンブラーを買った時の無料券がある。
歩いてみたい遊歩道がある。初めから最後まで歩いてみたい。デジカメを持って行ってみよう。
ささやかな望みが幾つもある。
劇的な何かは全くないけど、僕は今とても幸せなのだと思う。心の平穏と、やるべき仕事と、個人的にやりたい事、欲しい物がある。
この穏やかな日がずっと続けば良いと思う。
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本の題名は「暗黒童話」という。僕の気に入りの1冊。
片方の眼球と記憶を失った少女の話だ。
記憶を失うとまるで別人のようになってしまうのだという。そして記憶を再び取り戻した時、記憶を失っていた間のことは覚えているが、夢でも見ていたように自分の事とは思えないらしい。
考え方も何もかも違う、他人のようだと。
夢を見ていたわけでもないが、ほんの半年前の記憶を呼び起こすと、まるで自分の歩いてきた道とは思えない。
今から半年程前。
僕はあの会社で働き、心を病んだ。鬱病と診断された。その程度がどのくらいのレベルだったのかは知らないが、病院に行って最初のうちは相当に悪い状態だったと思う。
殆ど何も食べることがなくなり、体重は日々減少していた。
ストレスで声も出ないことがあった。
仕事に行く日は朝から酷い吐き気がした。
吐き気が怖くて朝は何も食べなかった。
仕事中に手が震えた。
最終的に無意識に自分の手を噛んでいた。両手に椿の華の様な無数の痣が散った。
事前に退職の意向は伝えていたが、後任が決まるより先に僕の限界が来て欠勤したまま退職となった。
退職してからは順調に快復していったものの、再就職の為に行動出来るようになるまでには3ヶ月程の時間を必要とした。離職票に不備があったりして実際に活動を始めたのは8月になっていた。
毎日のんびり昼まで眠り、明け方まで起きていた。
これらの日々の記憶はあるのに、最早自分の事とは思えないくらい、今の自分とは違っているような気がする。
再就職してからは、7時過ぎには起きてベタにエサをやる。無心にエサを飲み込むベタを眺めながら、僕は服を着替える。
テレビでニュースを見ながらお茶を飲む。
8時過ぎには家を出て、会社に向かう。
駅から少し距離があるので、毎日気分次第に色々な道を通る。
彼岸花が其処彼処で咲き誇っていて、いちいちそれらを眺めたことがあった。某社の社宅の無機質なデザインに目を奪われ、暫し立ち尽くす事があった。遊歩道を見つけて、遠回りながらその上を歩いたりもした。
最近は何処を通っても金木犀の強い香りで頭が痛い。
会社に着けば、朝礼まで雑巾がけをしたり、ワイパーで床を掃除したり、ゴミ出しをする。
仕事には大分慣れてきたけど、まだまだ知らない事がたくさんあるから、じわじわとノートの書き込みは増えていく。一昨日から今までの物より細かく分類して、インデックスシールを貼ったサイズの小さなバインダーを用意した。
ルーズリーフだから幾らでもページを増やせる。
事務用品は自前の物が多い。今日からブックスタンドも用意した。99ショップで買ったものだが、これのおかげで今までよりも格段に机の上が片付き、作業効率が上がった。
なんで僕の机は狭いんだろうと思ったら、机の6分の1がたくさんの書類作成用ハンコが入った箱を置く場所になっていたからだった。どかしようがないから、また何かいいものを用意してもっと広く使えるように工夫するべきなのだろう。
会社から帰る道。暗い住宅街を歩くのが厭だから、明るいバス通り沿いを行く。しかしこの道も安全ではない。狭いのである。白線の中を歩くのはほぼ不可能な幅。植木が少し飛び出していたら、電信柱があったら、人とすれ違う。様々な理由で白線からはみ出して歩いている。
手を伸ばせば車に触れるだろう。
あまり活気のない商店街。
そこの焼き鳥屋さんは僕が通りかかる18時過ぎの時点で、既に常連さんで賑わっている。炭火で焼いた鶏の香りが堪らなく香ばしい。中に入る事は永遠にないのだろうけど、毎日ここを通るのが少し楽しみだ。
営業する気がなさそうな不思議な珈琲豆屋。ここでは素敵な紅茶缶を手に入れた。値札はないがまだ缶は売られているのだろうか。もう1つ欲しい気がする。今度はまた別のデザインの缶はないか、と期待して毎日この店をチェックするのが日課になった。
帰りの電車は毎日ガラガラで、必ず急行の通過待ちをする。多い時は2本待つ。
真っ暗で景色を楽しむことは出来ないが、ぼんやり外を眺めてまどろむがすぐに着くので眠る余裕はない。
駅から真っ直ぐ家に帰ることもある。マックでポテトを買うこともある。今日は本屋で「タビと道連れ②」「クラウン③」「イレブンソウル④」を買った。
薬屋でお菓子を買うこともある。ごく稀に寿司を買ったことがある。コンビニで保険料を払うことがある。川沿いを歩きながら音もなく飛び回る蝙蝠を見て躓いたことがある。
見事な満月を見て携帯で撮影したけど、小さくて良く分からなかった。
つまらない些細な事がたくさんある。
休日に買い物に行きたい。
熱帯魚を飼ってみよう。
読みたい本がある。
欲しいものがある。
大した額ではないけど、人によってはガラクタかも知れないけど、欲しいものがある。
今度の休みは早めに起きてスタバでココアを飲もうか。タンブラーを買った時の無料券がある。
歩いてみたい遊歩道がある。初めから最後まで歩いてみたい。デジカメを持って行ってみよう。
ささやかな望みが幾つもある。
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プロフィール
HN:
榊原恭一郎
性別:
男性
職業:
営業事務
趣味:
読書、DVD鑑賞、SD、ネット等インドア趣味
自己紹介:
大卒後神主×年→無職2ヶ月→会社員10ヶ月→鬱病になって療養しつつ無職6ヶ月→念願の事務職に就職。
2回連続問題ありで離職率の高い職場を選んで体を壊しているので、次こそはマトモな所を狙って就職活動したつもりです。超アナログではあるけど居心地は悪くないと思う。
夢は経理事務だったけど営業事務職、年収300万以上を夢見た結果、その夢は叶う職場(のはず)です。求人票に嘘がなければね。
そんな駄目人間風味のコーヒー飲まないスターバックスファンのブログ。スタバグッズ蒐集が趣味。他にも色々集めてます。
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