キャラメル風味

　只今換羽期を向かえ、はらりひらりと羽毛が抜け落ちている文鳥様。既に尾羽が４枚以上抜けてしまい、残りが４枚程度になっております。それでもまだハゲてきたようには全然見えない美しい姿を保っておいでですが、今日の文ちゃんはどういう訳か甘い香りを漂わせています。

　僕は仕事から帰宅して夕食を摂った後は、ほぼ必ず文ちゃんと濃密な１時間を過ごします。その柔らかく優美な曲線を描く肉体に頬ずりをし、思わず接吻もしますが、当然のようにその体臭も味わうのです。
　１日何度も入浴する生き物なので、他の生物に比べると殆どニオイがしないくらいなのですが、そこは生き物ですのでうっすらと匂いがします。
　普段は薄い塩味が付いたコンソメスープのような匂いがするのですが、今日の文ちゃんは塩分を感じさせない甘い芳香がします。部屋で甘い物を食べたとか、僕の手に甘い匂いが付いている訳でもないのに、老齢に差し掛かった日本男児、燻し銀の艶男・文ちゃんからスイーツのカホリが………！！？
　どうしよう？　どっか悪いんだろうか？　糖尿病だと甘い体臭とかするのだろうか。本人至って元気そうなんだけどなあ。それに「キャラメル風味の甘い香りがするんです！」なんて理由で病院には行き難い。

　もうすぐバレンタインだから、って事にしておこう。